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放置すると大変なゲレンデでの雪焼けトラブルの原因と予防について

雪焼けとは、ゲレンデで雪面に反射した紫外線を長時間浴びてしまい、肌や目、唇などが炎症やダメージを受ける日焼けトラブルのことです。

夏の日焼け対策には気を配っていても、「冬は日差しが弱いから大丈夫」と油断してしまう人もいるのではないでしょうか。

実は、スキー場のゲレンデでは雪面の反射によって想像以上に強い紫外線を浴びるため、夏以上に深刻な雪焼けトラブルを起こすこともあります。

本記事では、ゲレンデで雪焼けが起こる理由とダメージを受けやすい部位、すぐに実践できる予防法や、万が一焼けてしまったときの対処法までまとめてご紹介します。

冬のレジャーを思い切り楽しむためにも、しっかりと雪焼け対策の方法を身につけておきましょう。

なぜゲレンデでは雪焼けが起こるのか

ゲレンデ

夏場の海辺では、日差しが強いことを意識して日焼け止めクリームを塗る方が多いですが、冬のゲレンデでは「厚着をしているから」と対策を怠ってしまう方も少なくありません。

ところが、ゲレンデで浴びる紫外線は、夏のビーチに負けないほど厳しいです。

まず、雪は紫外線を強く反射する性質があります。そのため、アスファルトや土に比べても反射率が高く、空から降り注ぐ紫外線に加えて雪面から照り返す紫外線を下からも受けることに。
その結果、顔や首、あごの裏側など、普段はあまり意識しない場所にまで、上と下の両方向から紫外線が当たる二重攻撃となってしまいます。

さらに、ゲレンデは標高が高い場所に位置していることが多く、その分、地表に届く紫外線の量も増えます。雲ひとつない快晴の日はもちろん、薄曇りの日でも紫外線は「雲を抜けて」しっかり届いているため、「曇っているから大丈夫」と油断していると、気づいたときには肌が真っ赤になっていることも珍しくありません。

こうした環境が重なることで、ゲレンデでは体感よりもはるかに強い紫外線を浴びている状態となり、短時間でも深刻な雪焼けを起こしてしまうのです。

スキー場の紫外線はさまざまな部位にダメージを与える

スキー場のリフト

スキー場の紫外線は、上と下の両方向から襲ってくるため、普段あまり意識していない部位にもダメージを与えてしまいます。

ここでは、次の4つの観点から解説します。

  • スキー焼けによる赤ら顔
  • ゲレンデの反射光は目にもダメージを与える
  • 唇も皮膚が薄いので症状がひどくなりがち
  • くまなく塗ったと思っていても日焼けする場所はある

 

スキー焼けによる赤ら顔

雪焼けでまず目につくのが、いわゆる「スキー焼け」と呼ばれる顔全体の赤みです。

ゴーグルやサングラスをしている場合、目の周りだけ白く残り、頬や鼻・額がくっきり赤くなってしまう「パンダ焼け」になることもあります。

また、長時間紫外線を浴び続けると、皮膚の表面だけでなく真皮層までダメージを受け、炎症やほてり、ヒリヒリ感が出てきてしまいます。これを繰り返すと、シミやそばかす、乾燥小じわなどの原因にもなりかねません。

「少し赤いだけだから」と放置せず、できるだけ早くケアするのがとても大切です。

ゲレンデの反射光は目にもダメージを与える

雪焼けの影響を受けるのは肌だけではなく、目にも紫外線のダメージを与えます。

強い紫外線を長時間浴びると、角膜に炎症が起きて「雪目(ゆきめ)」と呼ばれる症状が出ることがあります。主な症状は次のとおりです。

  • 目がゴロゴロする(異物感)
  • 目の痛み
  • まぶしくて目を開けていられない
  • 涙が止まらない
  • まぶたがけいれんする

 

紫外線にさらされてから6時間~10時間後に痛み出すこともあるため、昼間に滑ったあと夜になってから急に痛みが強くなった…なんてこともしばしば。

紫外線は目にとても悪い影響を与えるため、UVカット機能のあるゴーグルやサングラスが必須です。色付きのレンズであればどれでも良いわけではなく、「UV400」「99%カット」などの表示があるものを選びましょう。

唇も皮膚が薄いので症状がひどくなりがち

意外と見落としがちなのが唇の雪焼けです。

唇の皮膚は下の血管が見えるほど薄く、皮脂腺も少ないため、乾燥しやすくデリケートな部位です。しかし、日焼け止めクリームを唇に塗るのはちょっと…と避けている人もいるのではないでしょうか。

唇は、ゲレンデで肌を晒しやすい顔の中でも、一番雪焼けになりやすいと言っても過言ではありません。

強い紫外線と冷たい風にさらされると、次のような症状が現れます。

  • 皮がむける
  • 赤く腫れる
  • ひび割れて出血する

 

何も塗らずに一日中滑っていると、帰るころには笑っただけで痛むほど荒れてしまうケースもあります。そのため、唇を紫外線から守るためには、ぜひUVカット機能付きのリップクリームを使用してください。

リップクリームをこまめに塗り直すことが、唇の雪焼け予防には欠かせません。

くまなく塗ったと思っていても日焼けする場所はある

顔や首にしっかり日焼け止めを塗ったつもりでも、塗り漏れや落ちやすい部分はどうしても出てきます。たとえば、次のような箇所は普段以上に意識して塗るように心がけてください。

  • 鼻の下や小鼻のわき
  • まぶたのキワ
  • 耳のふち・耳たぶ
  • あごの裏側・フェイスライン
  • 髪や頭皮

 

また、滑っているうちにマスクやネックウォーマー、イヤーマフがずれて、思わぬ場所が長時間露出していたということも。

ゲレンデに出る前は、鏡を見ながら塗り漏れがないか確認し、少し多いかな?と思うくらい丁寧に重ね塗りしておくと安心ですよ。

そして、顔だけでなく髪や頭皮の日焼けも忘れてはなりません。髪や頭皮のケアはおざなりになりがちですが、紫外線でのダメージをとても受ける場所のひとつ。紫外線に当たらないようにニット帽をかぶるなどして紫外線を防ぐことが大事です。ニット帽であれば、髪や頭皮だけでなく耳も覆えるのでおすすめです。

雪焼けを起こさないためにも必要なこと

顔を覆い隠したスキープレイヤー

雪焼けは、一度起こしてから対処するよりも、事前にしっかり予防しておくことが何より大切です。

ここからは、スキーやスノーボードを思い切り楽しみながらも、肌や目、唇を守るために押さえておきたい基本的な雪焼け対策を具体的にご紹介します。

日焼け止めをしっかりと塗る

雪焼け予防の基本となるのは、やはり日焼け止めをきちんと使うことです!

ゲレンデでは、普段の外出用よりも高い紫外線防御力を持つものを選びましょう。

  • 顔・首には、SPF50前後・PA++++クラスのもの
  • 汗や雪で流れにくいウォータープルーフタイプ
  • スポーツ向けやアウトドア用の表示があるもの

 

日焼け止めを選ぶ際は、これらを目安に選ぶのがおすすめです。

また、塗るときは一度にたくさん塗るのではなく、2回に分けて重ね塗りするとムラを防げます。日焼け止めは時間とともに落ちてしまうため、2〜3時間おきに塗り直すことも視野に入れておきましょう。

昼食時や休憩タイムに鏡を見ながら塗り直すように心がければ、雪焼けリスクをぐっと減らせますよ。

可能な限り肌の露出を抑える

日焼け止めだけに頼らず、物理的に紫外線を遮る対策を組み合わせることで、雪焼けのリスクをぐっと減らせます。

まずは、フード付きのウェアやネックウォーマーで首元や耳を覆い、顔が出る面積が少ないフェイスマスクやバラクラバを活用しましょう。さらに、手首や足首が露出しないよう、ウェアとグローブ・ソックスの隙間をなくすことで、塗り忘れや塗りムラをしっかりカバーできます。

加えて、目の雪焼けを防ぐためには、UVカット性能の高いゴーグルやサングラスが欠かせません。「UVカット」「UV400」「99%カット」などの表示があるものを選び、ゲレンデでは転倒や風でずれにくいゴーグルタイプを選ぶと安心です。

ゴーグルを選ぶ際は、まぶしさや雪面の凹凸の見やすさも考えながらレンズの色や明るさを選びましょう。

お子さんがいらっしゃる場合は、子ども用ゴーグルにもきちんとUVカット機能があるかを確認してあげることも大切ですよ。

それでも雪焼けしてしまった場合の対処法

お肌の状態を先生から教えてもらっている女性

雪焼けはしっかり対策をしていても、塗り直しのタイミングを逃してしまったり、想像以上に日差しが強かったりして雪焼けしてしまうこともあるでしょう。

そんなときに大切なのは、できるだけ早く適切なケアをしてダメージを最小限に抑えることです。

ここでは、赤みやほてりが出てしまったときの応急処置から、その後の保湿ケア、受診を検討すべき目安まで具体的な対処方法を順番にご紹介します。

赤くなった部位を冷やす

気をつけていても、うっかり塗り直しを忘れてしまったり、予想以上に日差しが強かったりして、帰宅後に肌が真っ赤になっていることに気づくことがあります。

そんなときにやるべきことは、まず炎症を抑えるために冷やすこと。

「濡らして固く絞ったタオルを当てる」「保冷剤をタオルで包んで、ほてっている部分に当てる」
など、直接氷を肌に当てないように注意しながら、10〜15分ほどを目安に冷やしましょう。

強い痛みやほてりがあるときは、無理にこすったりマッサージしたりせず、刺激を与えないことが大切です。

しっかりと保湿する

ほてりが落ち着いてきたら、次はたっぷり保湿して肌の回復をサポートします。

アルコールや香料が少ない、低刺激タイプの化粧水や乳液を選ぶと安心です。次の流れを意識しながらケアしていきましょう。

  1. 化粧水を手のひらでやさしく押さえるようになじませる
  2. その後、乳液やクリームで水分が逃げないようフタをする
  3. 唇には、保湿力の高いリップバームや医薬品リップを重ねる

 

皮がむけている部分を無理に剥がそうとすると、跡が残る原因になるため、自然にはがれるのを待つのもポイントです。

また、下記症状が見られる場合は、自己判断せず早めに受診しましょう。

  • 水ぶくれができている
  • 触れなくてもズキズキ痛む
  • 目が開けられないほどまぶしい・痛い

 

雪焼けを放置すると治りが遅くなったり色素沈着が残ることもあるため、「おかしい」と感じたら早めに専門家の診断を受けることが大切です。

まとめ

スキー前に準備体操をする女性

ゲレンデでの雪焼けは、雪面の反射や標高の高さによって、想像以上に強い紫外線を浴びてしまうことが原因で起こります。

顔や目、唇などのデリケートな部位にダメージを与え、放置すると痛みや肌トラブルにつながるかもしれません。雪焼けを未然に防ぐためにも、次の対策を組み合わせて実践しましょう。

  • 「日焼け止めは高SPF・高PAのものを選び、重ね塗り&こまめな塗り直しをする」
  • 「ウェアやマスクでできる限り露出を抑え、物理的に紫外線を遮る」
  • 「UVカットゴーグルやサングラスで目を守る」
  • 「UVリップや保湿ケアで唇・乾燥しやすい部位をいたわる」

 

これら対策を組み合わせることで、雪焼けのリスクは大きく減らせます。

万が一日焼けしてしまっても、早めに冷やして保湿することで、ダメージを最小限に抑えることが可能です。

正しい知識と準備を整えて、冬のゲレンデを安心して楽しんでくださいね。