必ず見たい日本スキー映画の名作

山が多く、山の美しい雪景色も楽しめる日本。高度経済成長期やバブル期には、若者を中心に「スキーブーム」が起きました。
また、国際大会での日本人のスキー・スノボ選手のめざましい活躍などもあって、ウィンタースポーツや雪山への関心が高まり、スキーやスノボ、雪山を題材にした映画も制作されるようになりました。
ここでは、邦画の歴史に残る名作スキー映画や雪山に関連する映画を3作品ピックアップします。
バブル期の恋愛を描いた『私をスキーに連れてって』
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舞台は、バブル絶頂の1980年代後半。スキーは凄腕、けれども仕事も恋愛もパッとしないダメな商社マン(三上博史)が、クリスマスに奥志賀のゲレンデでおしゃれなOL(原田知世)と出会い、一目惚れしたところから物語は始まります。彼女にアプローチするものの偽物の電話番号を渡され、一旦は失敗。そこから、バレンタインに向かって仕事に恋に大奮闘するストーリーです。
空前のスキーブームを背景に、若者たちの想いが交錯する展開にドキドキします。いわゆる「トレンディドラマ」形式の映画なので、当時のトレンド、ファッションなども見どころといえるでしょう。現代の流行とは一味違う、タイトで華やかな色合いのスキーウェアや、ゲレンデの過ごし方など、レトロでリッチな雰囲気を存分に楽しめる映画です。
また、この作品は第11回日本アカデミー賞を受賞した名作でもあります。全編に松任谷由美の楽曲が使用され、映像だけでなく楽曲でもバブル期のスキーブームにどっぷり浸れるでしょう。
現在ではレンタルや中古DVDなどで視聴可能です。
(1987年製作/上映時間98分/監督:馬場康夫)
人気コミックの実写化『岳 ガク』
小栗旬主演。長澤まさみ、佐々木蔵之介など豪華キャストが揃う作品です。
北アルプスを舞台にした、山岳救助ボランティアや救助隊員がテーマの映画です。登山者の安全を守るボランティアや救助員の訓練の様子や、山の厳しさ、雪の脅威など臨場感にあふれる作品。
猛烈な吹雪の中、多重遭難が発生するなど手に汗握る展開が続きます。出演者が雪山のクライミングや、懸垂下降などを実際に行って撮影している点も注目ポイントです。このために、出演者はトレーニングを重ねたそう。撮影は、奥穂高など日本有数の名峰で行われています。
石塚真一による同名の漫画が原作であり、「山岳愛好家のバイブル」とも呼ばれています。映画とあわせて漫画も楽しんでみてはいかがでしょうか。マンガ大賞や、文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞している人気作です。
現在、映画は動画配信やレンタルサービス、DVD、Blu-rayで視聴できます。
(2010年製作/上映時間125分/監督:片山修)
3人の成長を描いた青春映画『銀色のシーズン』
瑛太、玉山鉄二、青木崇高が演じる青年3人組は、町営スキー場での「なんでも屋」をやりつつ、賭けスキーに興じるなど自由奔放に暮らしています。それぞれ、日本トップクラスのスキーヤーとしての夢を大怪我によって失ったり、モーグルチームの厳しい練習に耐えられず辞めたりと、挫折を抱えています。
そこへ、3日後の結婚式の演出でスキーをする予定なのに、全く滑れないという花嫁(田中麗奈)がやってきて…。雪やスキーを通じて自分自身を取り戻していく青春ムービーです。
『海猿』シリーズで有名な羽住英一郎が監督を務め、若者たちの青春や葛藤を細やかに描いています。大迫力のスキーシーンは、当時のハリウッドでも使用されていた最新鋭の機材で撮影されました。日本のスキー場が舞台である点も感情移入しやすいでしょう。
現在、動画配信・レンタルサービスや、DVDで視聴できます。
(2007年製作/上映時間109分/監督:羽住英一郎)
インパクト大!雪山舞台の誰かに話したくなる洋画

カナダやアメリカ、フランス、スイスなど、いつか海外でスキーやスノボをしてみたいと思いませんか?
海外の雪山や、ウィンタースポーツの雰囲気を楽しめる洋画にも注目してみましょう。ここでは、ドキュメンタリーテイストなものから衝撃的な話題作まで、雪山やゲレンデを舞台にした3作品をご紹介します。
インタビューと再現映像で迫る『運命を分けたザイル』
若き登山家の二人が、未到だったアンデス山脈の登頂に成功するものの下山中に滑落して骨折し、氷壁で宙吊りになってしまうという、実際にあった事故について取材した映画です。
当事者の登山家であるジョー・シンプソンとサイモン・イェーツ本人のインタビューシーンと、俳優たちによるリアルな再現シーンとで構成されている点も特徴的な作品です。本人たちにしかできない語りと、リアリティにあふれる実写シーンの緊張感から、当時の切迫した様子が痛いほど伝わってきます。
本物に迫る映像を追求するため、実際に事故が起きたアンデス山脈で、当時の状況を完全なまでに再現して撮影されました。
窮地に迫られたときに人間はどのように決断をするのかという、ハードなヒューマンドラマも見どころです。イギリスのドキュメンタリー映画界の巨匠が監督を務めており、ドキュメンタリーが好きな人は必見の作品でしょう。
現在、動画配信・レンタルサービスや、DVDで視聴できます。
(イギリス・2007年制作/上映時間107分/監督:ケヴィン・マクドナルド)
スノーボード好きならこれ!『クールボーダー』
舞台はアラスカ。落ちこぼれの若者たちが、愛する故郷であるスキーリゾートの買収計画を阻止しようと奮闘するヒューマンドラマです。かつての恋人が登場したり、新たな恋の予感が訪れたりする恋愛要素もあります。
気楽に楽しめる娯楽映画でありつつも、ヘリコプターを使ったアクションシーン、個性的なスノーボーダーたちの登場や迫力のある滑りなど、映像面でもインパクトのある演出が魅力です。
スノボがメインの雪山映画は比較的めずらしいかもしれません。アメリカのスノボを愛する若者たちのイケてる姿を楽しめます。この映画の撮影のため、世界中から一流のスノーボーダーが集められたのだそう。かつて日本のスノボ界を牽引した、ライオ田原選手も登場します。本格的な滑りを堪能できる点でも、見応えのあるスノボ映画です。
現在は動画配信・レンタルサービスや、DVDで視聴できます。中古DVDも多く出回っているようです。
(アメリカ・2001年制作/上映時間90分/監督:マロイ兄弟)
夢に出てきそうな怖さ『フローズン』
スキー場でリフトに乗っているとき「このまま止まってしまったらどうしよう」と思ったことがある人も少なくないかもしれません。本作品は「氷点下20度になる深夜、リフトに取り残されてしまったらどうする?」という一連を描いたものです。
極寒の雪景色の中どうしたら助かるのか、食料は、オオカミは…と、緊張感たっぷり。しかも、スキー場の営業が再開するのは一週間後という絶望的なシチュエーションです。自分ならどうするかと考えてしまう作品です。
スキーに行く前に友だちと見たら、スリルを感じて盛り上がれそうですね。本作品は、ソリッド・シチュエーション・スリラー映画として人気が出ました。刺激的で心理的な怖さのある作品が好きな人におすすめです。
現在は動画配信・レンタルサービスや、DVDで視聴できます。2010年の作品なので、中古DVDもかなり入手しやすいでしょう。
(アメリカ・2010年制作/上映時間93分/監督:アダム・グリーン)
笑えるスキー映画で暖まろう

コメディが好きな人は、笑えるスキー映画がおすすめです。ウィンタースポーツならではのアクションや、人と人との交流など、オモシロ要素が満載な、笑える映画を厳選しました。
冬の寒さも笑って吹き飛ばせる映画は、お一人さま時間にもぴったり。もちろん、スキー旅行の前やスキー合宿中に、友だち同士で見るのも楽しいでしょう。
漫画化もされた『疾風ロンド』
原作は東野圭吾の小説で、映画化だけでなく、漫画化もされました。ミステリーであり、サスペンスであり、コメディでもある多彩な魅力にあふれた映画です。
極秘開発中された生物兵器が何者かに盗まれ、研究所の所長のもとに「人質は全国民」だと、3億円の要求があります。この生物兵器を取り戻すため、研究員たちが奮闘するストーリー。舞台は野沢温泉スキー場です。行ったことがある人も、これから行く予定の人も必見といえます。
広大なスキー場で、隠された生物兵器を探します。スノーボーダーやパトロール隊の迫力ある滑走シーンも魅力です。一方で、阿部寛が演じる主役の研究員はなんと「スキーが滑れない」という設定も、スキー初心者には共感を呼ぶでしょう。
大倉忠義、大島優子、志尊淳など、人気のある有名な出演者も揃い、見応えたっぷりです。
現在は動画配信・レンタルサービスや、DVDで視聴可能です。
(2016年制作/上映時間109分/監督:吉田照幸)
考えるな、感じろ『スキージャンプ・ペア Road to TORINO 2006』
日本のスキー映画の中で、最も荒唐無稽な作品かもしれません。
冬季オリンピックで日本人選手も活躍する競技「スキージャンプ」。当然、選手は一人で飛ぶわけですが、もしも二人で飛んだら…。本作は、「一組のスキー板に二人が同時に乗ってジャンプする」という架空の競技「スキージャンプ・ペア」の歴史を追った、ドキュメンタリー風コメディです。
もともとはCGで作られたおもしろ動画でした。奇想天外な動きをする選手たちと、冷静な口調の実況解説がシュールな笑いを生んで一躍話題に。まさか実写映画化されるとは、元ネタのファンたちも思いもよらなかったはずです。
船木和喜など、スキージャンプの有名選手も登場し、ありえない競技を大真面目に語るユーモアが笑えます。そのユニークさは、海外の映画祭でも高く評価されました。
現在は見放題の動画配信サービスや、レンタルなどで視聴できます。
(2006年公開/上映時間82分/監督:小林正樹)
アニメ映画で雪山を楽しむ

実写の映画はロケ地を調べてみたり、実際の雪の質感を映像で楽しめたりと魅力がありますが、アニメ映画もまた違ったよさがあります。
アニメならではの演出やキャラの躍動感などを楽しみましょう。ここでは、有名な2作品を紹介します。まだ見ていない人は必見です!
コナンくんが滑走『名探偵コナン 沈黙の15分』
大人気漫画でありアニメである『名探偵コナン』。映画作品は毎回大ヒットします。原作漫画の人気やキャラクターの魅力だけでなく、ストーリーや映像など、全体的なクオリティの高さもヒットの理由でしょう。原作を知らない人でも楽しめる構成です。
そんなコナン映画の中でも、劇場版15周年を記念して作られたこの『沈黙の15分(クォーター)』は、雪山を舞台にした作品です。場所は新潟県。アニメによる山肌や雪の表現が見事です。
主人公のコナンくんはスケボーを華麗に乗りこなすことでも知られていますが、本作品ではスノボで見事に滑走します。雪山ならではの迫力あるシーンは必見。真実が雪に埋もれ、人々の想いが錯綜する事件の、緊迫した雰囲気が印象的です。
子どもから大人まで人気の高いコナン映画は、多くの動画配信サービスやレンタルで取り扱いがあります。
(2011年公開/上映時間109分/総監督:山本泰一郎)
雪の映像美に注目『アナと雪の女王』
ディズニー映画の中でも、言わずと知れたヒット作。あまりに有名すぎて、「いつでも見られるからいいや」と見逃している人もいるのではないでしょうか。
手に触れたものすべてを凍らせてしまう魔法を授かった王女・エルサ。魔力をコントロールしきれずに国中を雪で埋めつくし、雪山の城に立てこもります。そのエルサを妹のアナが呼び戻しにいく、姉妹の愛の物語です。
ミュージカル形式の作品であり、ヒット曲である「レット・イット・ゴー」を含めた豊かな音楽も魅力のひとつ。さらに特筆すべきは、CGを駆使した雪の表現の美しさです。吹雪やソリ、雪だるまなど、白銀の世界が見事に表現されています。ものすごい速さで雪原を滑り降りるシーンは、想像以上の臨場感!
年齢や性別に関係なく楽しめる、見応えある作品です。ディズニー映画のため、ディズニープラスで配信されているほか、動画配信サービスなどさまざまな方法で視聴可能です。
(アメリカ・2013年制作/上映時間102分/監督:クリス・バック、ジェニファー・リー)
まとめ

国内外、実写、アニメなど、幅広いジャンルでスキー映画は人気です。
スキーやスノボになかなか足を運べなくても、映画なら、配信サービスやレンタルですぐに見ることができます。雪山のドラマチックな映像を目で楽しんだら、ますます滑りに行きたくなりそうですね。
映画を見ながら、雪への想いを募らせて、ぜひスキー・スノボ旅行を実現させましょう!














