スキー場を選ぶポイントはさまざまですが、景色の美しさは外せない魅力のひとつです。近年では、景観を楽しめるテラスやカフェなどの設備を整え、滑走の合間に絶景を眺めながらお茶や食事を楽しめるスキー場も増えています。
今回は、そんな絶景スポットのあるスキー場をまず5カ所ご紹介します。
白馬八方尾根スキー場【うさぎ平テラス】

日本屈指のビッグゲレンデ、白馬八方尾根スキー場は、多彩で変化に富んだロングコースが魅力。1998年の長野オリンピックではアルペンスキーの高速系種目の競技会場となり、世界中のスノースポーツ愛好者が訪れました。

北アルプスの大自然に囲まれた抜群のロケーションで、右手には白馬三山、左手には五竜岳や鹿島槍岳がそびえ、ゲレンデからの眺めは圧巻です。

そんな絶景を楽しむために是非おすすめしたいのが、八方尾根ゴンドラリフト「アダム」の山頂駅に併設されている「うさぎ平テラス」。標高1,400mのテラスからは近隣の山々や、晴れた日には浅間山、八ヶ岳まで望めます。

カフェやレストランもあり、ゆったりお茶を飲みながら絶景を満喫できるのも嬉しいポイント!
■白馬八方尾根スキー場 公式ホームページ
https://www.happo-one.jp/usagidaira/
白馬岩岳スノーフィールド【HAKUBA MOUNTAIN HARBOR】

白馬八方尾根の隣に位置し、北アルプスの山々を間近に感じられるスキー場です。

ゴンドラ「ノア」でアクセスできる標高1,289mの山頂エリアにある「HAKUBA MOUNTAIN HARBOR」は、斜面に突き出した広いテラスが特徴。目の前には白馬三山や不帰ノ嶮が迫り、左手には唐松岳や五竜岳も望めます。
施設内にはニューヨーク発祥のベーカリー「THE CITY BAKERY」があり、ホットチョコレートなどを楽しみながら絶景を堪能できます。
■白馬岩岳スノーフィールド 公式ホームページ
https://iwatake-mountain-resort.com/hmh
竜王スキーパーク【SORA terrace】

北志賀高原エリアには数多くのスキー場が点在していますが、竜王スキーパークはその中でも最大規模。標高1,930mの山頂エリアから850mの山麓まで標高差1,080m、滑走距離にして連続約6kmものロングクルージングが楽しめるビッグゲレンデです。

雪質も抜群で、竜王ロープウェイを利用する名物の「木落としコース」は、今やツリーラン愛好者たちの聖地といわれるほど。

その竜王ロープウェイ山頂駅(標高1,770m)に併設されているのが「SORA terrace」。晴れていれば眼下に信州中野の街並み、遠くに妙高や斑尾、また北アルプスの山々が望めますが、気象条件次第では目の前に幻想的な雲海が広がることも。

実のところ、この雲海の眺めこそが「SORA terrace」の最大の魅力といってもいいでしょう。
しかし、雲海の眺めとくれば、どうしても天候に左右されてしまいます。ただ、竜王山頂では67%の確率で雲海が発生するそうなので、そんなチャンスには意外に多く巡り合えるかもしれません。

そして、「SORA terrace」のすぐ横には、お茶や食事が楽しめる「SORA terrace Cafe」も。この施設内には暖炉やカフェバーがあり、ちょっとゴージャスな気分で優雅に景色が楽しめます。

ちなみに、竜王ロープウェイから下るコースは、先述の「木落としコース」のみ。要ヘルメット着用の完全な上級者向きコースなので、初・中級の人は下りのロープウェイで下山しましょう。
竜王スキーパーク 公式HPはコチラ
https://ryuoo.com/winter/
蔵王温泉スキー場【地蔵山頂駅山頂テラス】

蔵王といえば、何といっても「樹氷」は外せないアイテムです。この樹氷が見られるのは、蔵王温泉スキー場の「樹氷高原」と呼ばれるエリア。こちらは蔵王ロープウェイ山麓線でアクセスし、その終点が「樹氷高原駅」となります。

さらに、樹氷高原駅で蔵王ロープウェイ山頂線に乗り換えて地蔵山頂駅に向かっていくと、ゴンドラの眼下はまさに樹氷だらけ。無数のスノーモンスターがはるか彼方まで居並び、蔵王の地理的条件と冬の季節風が生み出す世界でも稀有な絶景が延々と広がります。
ロープウェイに乗っているだけでもこれら樹氷原の迫力は堪能できますが、地蔵山頂駅には「山頂テラス」が設備され、そこからの眺望もまた圧巻。広大な樹氷原とともに、晴れた日には月山なども遠望できます。

ただし、シーズン中の展望台の寒さは相当なもの。樹氷ができるのはそれだけ風が強いことを意味し、景色を堪能したのなら早々にロープウェイ駅舎内の「レストラン山頂」に避難しましょう。こちらの施設は窓が広く取られているので、店内の温かい環境でお茶や食事をしながら樹氷原のパノラマビューが楽しめます。
景色を堪能した後は、そのままロープウェイで降りてもいいですが、せっかくここまで来たのならば、やはり滑って下山したいもの。

地蔵山頂からは「ザンゲ坂・樹氷原コース」が下山ルート。こちらは上部がやや斜度があるので、中級レベルくらいまでの人は注意しながらゆっくり滑りましょう。しかし、中盤以降は比較的なだらかになるので、快適な滑走が楽しめます。樹氷原の中を滑る醍醐味は蔵王ならではの魅力です。
蔵王温泉スキー場 公式HPはコチラ
https://www.zao-ski.or.jp/
志賀高原横手山スキー場【満天ビューテラス】

志賀高原横手山スキー場の山頂は標高2,307m。この高さは、リフトのあるスキー場としては日本で一番の高所であり、それだけに周囲の景色はほとんど見下ろすカタチ。

そして、山頂にアクセスするリフト終点の屋上が「満天ビューテラス」と呼ばれる展望台になっていて、そこからの眺めはまさに360度の大絶景なのです。

上ってきた方角を見ると、正面に志賀高原の象徴の一つでもある笠ヶ岳を通して北信五岳(斑尾、妙高、黒姫、戸隠、飯縄)、北アルプスや中央アルプス、はるか彼方には日本海が!さらに左に目を転じれば、浅間山や四阿山、八ヶ岳の連山、条件がよければ富士山が見えることもあります。
これだけ広々と周囲を見渡せるのも、標高の高さがあればこそです。しかも山頂からのコースは比較的なだらかなため、多少ともスピードコントロールができるようになれば、初級者でもボーゲンでゆっくり下れます。技術レベルに関わらず、誰もが「満天ビューテラス」を訪れて絶景を楽しめるというわけです。

ちなみに、ここには飲食施設はありません。おなかが空いたり温まりたかったら、すぐ近くの「横手山山頂ヒュッテ」にいきましょう。こちらは日本で一番高所にあることで有名な「雲の上のパン屋さん」があります。パンにきのこスープを閉じ込めたパンシチューやボルシチが人気です。せっかく横手山山頂まで来たのなら、こちらもぜひ味わってみてはいかがでしょうか。
志賀高原 横手山スキー場 公式HPはこちらから
https://yokoteyama2307.com/terrace/
スキー場のロケーションは山岳地帯。つまり、多くのスキー場は、そもそも基本的に景色のいいところに立地しているということです。
そのなかでも、絶景自慢のスキー場が専用のテラスを設置していたりするわけですが、これまで紹介した以外にも眺望がすばらしい、絶景と呼べそうなスキー場はまだまだあります。特におしゃれなテラスの設備はないけれど、「ここは絶景」と推しておきたいスキー場を4カ所ご紹介します。
丸沼高原スキー場

関越自動車道の沼田ICから尾瀬エリアへ向かう国道120号線は、冬季の間、日光に続く金精峠の手前で通行止め。丸沼高原スキー場は、その通行止めされているエリアの最奥に位置しています。なぜ通行止めかというと、標高が高く、道が険しく、積雪が多すぎて除雪が困難だから。ただし、それはスキー場にとってみれば好条件といえますね。

丸沼高原スキー場は、関東以北では最高峰の日光白根山(2,578m)の西北にゲレンデが開かれています。そのため、標高はベースエリアで1,390m、ゲレンデトップになると2,000mというかなりの高所。当然ながら雪質は抜群で、シーズンも長く5月連休くらいまで滑ることができます。

ゲレンデトップへは、山麓からロープウェイ1本でアクセス可能です。標高が高いだけに山頂駅周辺からの眺めは文句なし。特に背後にそびえる日光白根山の山容をバックにした写真撮影は、おすすめです。
また、山頂ばかりでなく、ロープウェイ乗車中の眺望もグッド。ゴンドラの中からも浅間山や草津白根、谷川岳や武尊岳、さらに尾瀬の至仏山など周囲の名峰を望むことができます。
そして、山頂駅から下るときの連続滑走距離は最長4km。整備の行き届いた圧雪バーンでのロングクルージングもまた、至福のひとときです。
富士見パノラマリゾート

南アルプス北端に位置する入笠山の北東斜面に開かれたスキー場。ゴンドラでアクセスするゲレンデトップは1,780mと標高が高く、「富士見パノラマ」という名称が示すとおり、ここからの眺めはまさにパノラマビュー。正面に八ヶ岳の各ピークと裾野の広がりをすべて見渡すことができ、彼方には蓼科山や秩父山系、甲斐駒ヶ岳や富士山も視界に入ります。
また、このエリアは地理的に冬場の晴天率が85%ということで、いつ訪れても晴天かつスカッと澄み渡った眺望が味わえるのも魅力。
ゲレンデの雪は人工降雪機主体ですが、整備は上々。ゴンドラを利用すると山麓まで標高差730m、滑走距離にして約3kmのロングコースを一気に滑ることが可能です。

スキーセンターのレストランではメニューのバリエーションが豊富。

レンタルにはハイブランドの高品質な用具が揃えられているなど付帯施設も充実しています。
立地は中央高速道路の南諏訪ICからわずか6分。都心からのアクセスのよさもこのスキー場の魅力のひとつです。
富士見パノラマリゾート 公式HPはこちらから
https://www.fujimipanorama.com/snow/
奥利根スノーパーク

群馬県のみなかみ町に位置し、中規模サイズながらコースバリエーションが豊富なスキー場。2,500mのロング滑走が楽しめたり、早朝営業や深夜までのナイター営業を行っていたりと、スキーヤー&スノーボーダーにとってうれしくなってしまう要素が目白押し。そして知る人ぞ知る、実は眺めもグッドなのです。谷川岳と谷川連峰、朝日岳が目の前にドーンと望め、眺望はかなり秀逸。
アクセスは関越自動車道の水上ICから10km程度。アップダウンの少ない融雪道を走るため、雪道運転が不安な人も安心してお出かけ可能。都心から比較的短時間でアクセスでき、早朝から夜まで長時間滑走が楽しめて、しかも眺望もよし。奥利根スノーパークはおすすめのスキー場です。
奥利根スノーパーク 公式HPはこちらから
https://okutone.jp/
猪苗代スキー場

磐梯山の中腹に開かれた福島県を代表するスキー場のひとつ。歴史が古く、記録を見ると大正時代にこのエリアですでにスキー競技が行われていたとのこと。もちろんその当時、リフトなんかまだありません。
現在の猪苗代スキー場は、ファミリー向きの中央エリアと全国大会が開かれるようなハードなバーンのあるミネロエリアに分けられ、リフトによる機動力はなかなか強力な布陣。パウダーが楽しめる非圧雪エリアもいたるところに設定されているなど、滑るためのお楽しみ要素はさまざまに充実しています。
ただし、猪苗代スキー場のイメージを形づくっているのは、やはり猪苗代湖の眺望といった要素が大。中央エリアでも、ミネロエリアでも、どこを滑っていようと輝きを放つ猪苗代湖の広大な湖面が視界に入り、それがこのスキー場特有の開放感を醸し出しています。
また、猪苗代湖の湖面は、立ち上る水蒸気によって雲海に覆われることもしばしば。低く立ち込めた雲海はゲレンデから眺めるとかなり神秘的で、晴れているときとはまた違った雰囲気が味わえます。
絶景スキー場といえば、山岳地帯の迫力がその要素になっていることが多いわけですが、猪苗代スキー場の眺望の主体は湖の景観。そのため、スキー場の雰囲気としては山岳の迫力あふれる白馬エリアなどとは異なり、どこか静かで優しいイメージも感じられます。
猪苗代スキー場 公式HPはこちらから
https://www.inawashiro-ski.com/viewpoint/
まとめ
よい眺めというものは、やはりスキー場の魅力度を引き上げる重要な要素なのでしょう。今回紹介した絶景スキー場は、どちらかというと関東圏からのアクセスのしやすさを考慮したものでした。
しかし北海道や東北、また中部エリアの岐阜方面などにも素晴らしい景色が楽しめるスキー場はまだまだ多くあります。次の機会には、ぜひそんなところにもスポットを当ててご紹介してみたいと思います。




